あこがれ/フランソワ・トリュフォー (1)

+概要+
1958年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
原作:モーリス・ポンズ
製作:ロべール・ラシュネー
出演:ベルナデット・ラフォン
撮影:ジャン・マリージュ

トリュフォーの公開作としては、初の短編映画。
本作の前に自主製作の「ある訪問」があるが、こちらは当時公開されることはなかった。

+あらすじ+
街の少年たちの憧れの存在、ベルナデット。自転車に乗る彼女の姿、風に吹かれて捲れ上がるスカートから覗く脚、隠れて嗅いだ自転車のサドルに残った彼女の香り。少年たちは彼女を追いかけそれらを楽しんでいた。しかし彼女には、ジェラールという交際相手がおり少年たちは嫉妬。何度もデートの邪魔をする。ほどなくベルナデットとジェラールは婚約するものの、ジェラールは徴兵され戦死してしまう。そして、彼らは喪服姿のベルナデットを見るのだった。

+感想+
 トリュフォー映画の特徴でもある、子供の扱い方のうまさが既に本作で表れている。後に語ったところでは、少年たちは全くベルナデットに興味を持っておらず、無理に演出をつけてしまったことで自然さが損なわれてしまったと後悔を述べていたようで、確かに手紙のシーンなど少し硬さが見えてしまう場面もある。それでも子供たちが走り回り遊ぶ姿など自然に楽しんでいるような様子が収められており、生涯子供のような純粋さがあったと多くの人に言われるトリュフォーの無邪気な感性が見られる。

 また、ベルナデットの脚・胸・顔といったクロースアップのショットなど全体に瑞々しい性欲が漂っていたり、最後には失われた青春に対する哀しみを感じさせたりと、今後のトリュフォー作品を予期させる短編映画といえる。

 単体で見て面白い類のものではないけど、トリュフォーの他の作品が好きな人が後から見返してみると、面白いんじゃないかと思う。

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