アメリカの夜 / フランソワ・トリュフォー (15)

+概要+
1973年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:マルセル・ベルベール
原作:ヘンリー・ファレル
脚本:フランソワ・トリュフォー
   ジャン=ルイ・リシャール
   シュザンヌ・シフマン
出演:ジャクリーン・ビセット
   ジャン=ピエール・レオー
   フランソワ・トリュフォー
撮影:ピエール=ウイリアム・グレン
編集:ヤン・デデ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

映画製作の裏側を描いた作品。アカデミー賞外国語映画賞を受賞。

+あらすじ+
『パメラを紹介します』という映画の撮影現場。フェラン監督は次々と様々な決断を迫られる中、必死で映画の完成を目指す。一方で主演女優ジュリー・ベーカーは精神面で不安を抱え、共演者のアルフォンスは恋人兼スタッフのリリアーヌとの関係に頭を悩ませていた。

+感想+
トリュフォーの映画への愛が詰まった1作。冒頭の映画の父D・W・グリフィスの映画に出演した「リリアン&ドロシー ギッシュに捧ぐ」の献辞が映し出され、映画そのものへの愛を捧げた作品と読み取れる。

映画製作の裏側が惜しげもなく盛り込まれ、まるでメイキングを見ているかのよう。ウディ・アレンも実際の映画製作の現場はまさに本作のようだと語るほど現場が忠実に再現され、監督が抱える不安も赤裸々に語られている。

しかし、もちろん脚本のある映画。ジュリーが抱える精神的な問題やアルフォンスのリリアーヌへの激しい感情から起こる事件、セリフを覚えられない大物女優、ゲイらしい男優などが描かれる他、朝食をなかなか食べようとしないネコ(『柔らかい肌』での出来事)や女優が特製のバターを要求する(『エヴァの匂い』のジャンヌ・モロー)などの実際にあったらしい小ネタが随所に散りばめられている。

終盤では1人のスタッフの妻が監督を含めた皆に向かって「これが映画?異常ね」とカメラ目線で訴えかけてくるシーンもあり、トリュフォー自身も自覚しているであろう客観的視点がしっかり述べられている。

映画を愛する者、映画製作を志す者は絶対に観た方が良い映画のひとつ。

「映画製作は駅馬車の旅に似ている。期待が消え、結局は目的地に着くことだけになる。」

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