恋愛日記 / フランソワ・トリュフォー (18)

+概要+
1977年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:マルセル・ベルベール
脚本:フランソワ・トリュフォー
   シュザンヌ・シフマン
   ミシェル・フェルモー
出演:シャルル・デネル
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:マルチーヌ・バルケ
音楽:モーリス・ジョべール

『私のようにかわいい娘』にも出演したシャルル・デネルを主演に迎えている。

+あらすじ+
女性に目がないベルトラン。特に脚に対しては並々ならぬ愛情を抱いており、美しい脚の持ち主を探すため事故を偽装してまで連絡先を得ようとする。ある時ブティックの女性に振られた彼は、これまでの多くの恋愛遍歴を小説にすることを決意。レンタカー屋の店員、モーニングコールをかけてくるセンターの女性、レストランで出会った人妻などについて赤裸々に小説をしたためていく。

+感想+
トリュフォー自身の脚好き・女性好きというフェチが色濃く反映された作品。窓の隙間から見えた美脚を追って、事故を偽装し家を突き止めるという常軌を逸した行動を取る程に命がけで女性を追い続けるベルトランに、終始偏執病的な重苦しい陰鬱さがつきまとう。主演のシャルル・デネルの粘り気のある顔・演技が、単なる色男とは異なる病的な要素を添加していると思う。

一方で途中再会する女性。恋を終わらせないベルトランが終わりを告げる女性。彼女の存在はその他の彼の遍歴とは一線を画し、ベルトランの報われなかった無念がにじみ出ている。そのことが彼を更に病的にしたのか。最後に入院した病院で美脚の看護婦を追いかけようとベッドから転がり落ちるベルトランの青白い顔が頭に焼き付いて離れない。

映画に主演する女優たちに悉く夢中になったトリュフォーも、恋のはじまりはいつでもあったが終わることはなかったと言われる程多くの女性と次から次に関係を持っていた。それなのに小慣れたプレイボーイといった感じが見受けられないのは、本作の主人公同様にどの恋にも命がけ、必死で突進していったからだろう。その根底にあるのは、愛されたいという子供の頃から強い願望では。

「女の脚は美しく バランスよく 地球をはかる コンパスだ」
「デートの誘いなのに 命がけなの」

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