終電車 / フランソワ・トリュフォー (21)

+概要+
1980年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:マルセル・ベルベール
脚本:フランソワ・トリュフォー
   シュザンヌ・シフマン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ
   ジェラール・ドパルデュー
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:マルチーヌ・バラケ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

セザール賞の主要部門を独占した本作。本国でも大ヒットした。

+あらすじ+
ナチス占領下のパリ。緊張状態の街で暮らす人々の目下の楽しみは、観劇であった。しかし、劇場の支配人であったルカ・シュナイダーはユダヤ人であるため亡命。妻のマリオンが支配人兼俳優として劇場を切り盛りしている。しかし、実はその劇場の地下でルカを匿い、逃亡のタイミングを図っていた。そこへ、新たな演目「消え去る女」の主演として招かれたベルナールがやってくる。彼もまた、俳優業の裏でレジスタンス活動をしていた。独軍やナチス寄りの思想に毒された批評家からの監視を受けながらも、何とか上演は成功。次第にマリオンとベルナールの気持ちも近づいていく。そんな時、ベルナールのレジスタンス仲間はゲシュタポに捉えられ、劇場にも偵察がやってくる。マリオンに頼まれルカを隠すことに成功。しかし、ベルナールは活動に専念するために劇場を去ることに。心の奥底で互いを愛し合っていたマリオンとベルナールは、最終日に関係を結ぶ。

+感想+
以前からトリュフォーが考えていたという、本当の占領下のパリの様子を描いた物語。大抵の物語は必要以上に暗い雰囲気を描いていたが、実際に幼少期をそこで過ごしたトリュフォーにとってはそこまで暗いものではなかったため、いつか映画に著したいと思っていたという。

本作は、その着想から作ったということもあり劇場とその界隈で暮らす人々を中心に描くことでナチス占領下であるという緊張感を持ちつつも、どこか生き生きとした人間たちが描かれていて、観ている側の気持ちを引き込むのに程よいバランスが保たれていた。

最後にはお得意のナレーションで、一気に収束する。これもトリュフォーの生きるスピードの早さが活きているのか、おかげでだれることなく映画が進んでいく。なかなかマリオンとベルナール、ルカの関係を理解しきれているとは言えないものの、そのわりにカトリーヌ・ドヌーヴの持つどこかしたたかな艶やかさや、どこかアットホームな映像のおかげでドロドロとした印象は一切なく見進めていくことが出来る。しかし、そのあっさり感故のものか心に残る類の映画ではなかった。

「2人だから愛しあえるし、憎み合える。」

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