思春期 / フランソワ・トリュフォー (17)

+概要+
1976年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:マルセル・ベルベール
脚本:フランソワ・トリュフォー
   シュザンヌ・シフマン
撮影:ピエール・ウィリアム・グレン
編集:ヤン・デデ
音楽:モーリス・ジョべール

幼い子供たちのエピソードを中心に、幼児虐待や教育そして思春期の訪れについて描く。

+あらすじ+
フランス・ティエールの学校に通う、体の不自由な父と2人暮らしのパトリックや仲良しのローレン、いたずらっ子のクローディオとフランク兄弟などの生徒たち。そこへぼろぼろな身なりの少年ジュリアンがやってくる。

+感想+
トリュフォーが得意とする子供たちの活き活きとした演技がふんだんに盛り込まれた作品。子供たちが無理に演技をさせられているという様子が一切ない。そして、きっとトリュフォーは相手を見ただけで、どういう性格かをすぐに把握することが出来る特性を持っていたのだろう。それぞれの役にも全く違和感がない。『大人は判ってくれない』では、救いのない憂いが全体を包んでいたが、本作はもっとコメディ寄りで最後には希望の光が見えてくる。大人になってもなお、幼年時代の思い出を感情ごと再現できるトリュフォーの心の豊かさたるや。

実際に起こった事件を元にしたらしい、グレゴリーぼうやのマンションからの転落。頑固さ故に置いてけぼりにされた女の子の「お腹が空いた」の言葉に住民たちが一丸となって食べ物を運ぶ様子。小ネタも可愛らしく、つい微笑んでしまう。

一方で虐待を受けていたジュリアンの存在と、そのことを受けて先生が生徒たちに向かって言う言葉。子供時代に不遇の人こそ、その後輝くという言葉は、実際にトリュフォーが体現し同じ境遇の子供たちに伝えたいことだったんだろう。

「生きるのはつらいが人生は美しい。人生は愛し、愛されるもの。人間は愛がなくては生きられない。」

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