アントワーヌとコレット(二十歳の恋)/フランソワ・トリュフォー (5)

+概要+
1962年公開のフランス映画。
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:フィリップ・デュサール
脚本:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ピエール・レオー
   マリー=フランス・ピジエ
撮影:ラウール・クタール
編集:クロディーヌ・ブーシェ
音楽:ジョルジュ ・ドルリュー

『二十歳の恋』という各国の監督が製作した短編を繋いだオムニバス映画の中の1作。『大人は判ってくれない』の主人公、アントワーヌ・ドワネルのその後を描いた作品。

+あらすじ+
少年鑑別所から脱走し連れ戻された後、良い精神科医に出会い更生、現在では17歳になったアントワーヌ・ドワネル。既に独り立ちし、レコード会社に勤めている。ある日親友ルネとコンサートに行き、コレットという足の綺麗な女性に一目惚れする。コンサートに通い、ようやくコレットと親しくなったアントワーヌ。しかし、コレットは彼を恋の対象として見てくれない。そして彼は何故かコレットの両親に気に入られてしまう。

+感想+
冒頭の目覚ましのシーンから目を引き、ようやく現れた17歳のアントワーヌは、かつての少年の無邪気さを兼ね備えたまま、何というかちょうど良い成長を遂げている。ルネとの回想シーンでは、実際に2人が演じているだけあって何とも微笑ましい思い出を呼び起こしてくれる。

コンサートでコレットに出会うシーンでは、引きの映像なのにうまいことコレットの足が気になってしまう。照明の関係か、座り方の関係か。最初は特別寄っていくことはしていないのにアントワーヌと同じように彼女が気になってきてしまう。そして、進むコンサートの様子とアントワーヌの視線、コレットの姿と視線。少しずつ思いが深まっていく様子が絶妙に表現されていて、流れる音楽と共に観ている側の焦ったい気持ちと興奮が合わさっていく。

2人が近づいていくところは、トリュフォー得意のナレーション。アントワーヌ自身がルネに話す言葉と共に映像が重ね合わされ、テンポが良い。

途中にはレコードの作り方や袋詰めの際にバックで流れる音楽など遊び心も。コンサートでコレットに作ったレコードを実物を見せて自慢しているけど、あんなデカイものをコンサートに持ち込む奴がいるのか、と思いつつ面白い。

そして、最後にはコレットは他の相手とのデートのために去り、何故か彼女の両親とテレビを観るという素晴らしいシーン。彼らが3人並び、徐々に後ろ姿に近づいていく映像に一抹の切なさが漂う。更生しても、愛を得られずに探し続ける彼の哀愁を感じる。

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